歯周病治療
歯周病治療について

歯周病は痛くなく
気づかないうちに進行する病気です
歯周病が自分には無関係と思う人がとても多いです。これは自覚症状がないままに進行する病気だからです。虫歯のように痛みが出たり、歯に穴が開いたりすれば、歯医者に行かないと…と思われますが、それがないので放置されて進行します。
普段から定期的に歯科検診を受けている方であればその都度、歯周病になっていないか、また、なっていたら進行度などをチェックして予防することが可能です。しかし、歯が痛くなった時や、詰め物が外れた時しか歯科へ行かないと言う人であれば危険です。
「痛みが無いなら良いや…」なんてことはありません。歯を失う一番の原因は、虫歯ではなく「歯周病」です。
そして、歯周病で歯を失った人は口を揃えて「ひどくなる前に、手を打っておけば良かった」と言います。歯は失ってしまったら、二度と自分の歯が生えることはありません。
当院の歯周病治療の特徴
徹底した評価と早期発見
当院の歯周治療は、歯ぐきとその下の骨構造の詳細な検査から始まります。最新の診断機器を用いて歯ぐきの健康状態を評価し、歯周病の初期兆候を発見します。早期発見により、進行する前に対処し、健康な歯ぐきと歯を維持することが可能です。

個別の治療計画
患者さま一人ひとりのニーズは異なるため、個別の歯周健康に応じた治療計画を作成します。予防ケアや軽度の治療、より集中的な治療が必要な場合でも、効果と快適さを重視したプランを提供いたします。

非外科的・低侵襲の治療法
可能な限り非外科的・低侵襲の治療法を優先しています。スケーリングやルートプレーニング(深いクリーニング)は、歯ぐきの下に溜まったプラークや歯石を取り除き、自然な治癒を促します。初期から中等度の歯周病に対しては、この方法で進行を防ぎ、手術の必要性を減らすことが可能です。

必要に応じた高度な
外科的技術
適応症の歯周病の場合、歯ぐきと骨の健康を回復するためのさまざまな外科的オプションを提供しています。歯肉移植、骨補填、ポケット減少手術などの手術を、快適さを考慮しながら、最新の技術を用いて精密に行います。

予防への丁寧な説明
歯周病の予防には、患者さまへ正しい予防法を身に付けていただくことが重要であると考えています。適切な口腔衛生方法、食生活のアドバイス、歯ぐきの健康を向上させるライフスタイルについてのガイダンスを提供しています。患者さまと一緒にホームケアの習慣を作り上げ、治療効果を持続させるサポートを行います。

定期的なメンテナンスと
モニタリング
歯周治療は初期治療で終わりではありません。定期的なメンテナンスとフォローアップケアを通じて歯ぐきの健康状態をモニタリングし、早期に変化を発見します。継続的なチェックアップにより、治療の効果を維持し、歯ぐきの健康を最適な状態に保ちます。

歯周病について

歯周病(歯槽膿漏)とは?
歯周病とは、歯を支える歯茎や骨が、歯と歯茎に繁殖する細菌に感染することで炎症を起こし壊されていく病気です。
歯周病は進行の段階があり、歯茎の炎症だけの段階「歯肉炎」と、歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされる「歯周炎」にわかれます。歯を支える骨が溶かされてしまうので、放置しておくと最終的には歯が抜け落ちる、もしくは抜歯するしかない状態になってしまいます。
そして、歯周病はお口の中の数多くの細菌と食生活の乱れ、歯磨きや歯科での定期検診が不十分であると引き起こされてしまう病気ですが「人類史上最も感染者数の多い感染症」とも言われる感染症の1つです。
感染症なので、無自覚のうちに、家族や友人など大切な人にうつしてしまうこともあるのです。
更に、歯周病はお口だけでなく全身疾患も引き起こします。
口の中には、何百種類もの細菌が存在し、それらは体内に入りこみます。何百種類もいる細菌が全て全身疾患を引き起こすわけではありませんが、歯周病の原因となっている菌は全身疾患を引き起こす原因になります。
歯周病になる原因について

歯周病になる主な原因とは?
歯周病の主な原因は、歯や歯ぐきに付着する細菌性プラークの蓄積です。プラークは毎日歯の表面に形成される粘着性の無色の細菌の膜で、定期的なブラッシングやフロスで除去しないと、硬化して歯石になり、歯ぐきを刺激して炎症や感染を引き起こします。長期的に放置すると、この感染が進行し、歯ぐきや骨、他の支持組織にダメージを与えることになります。
その他の要因としては次のようなものがあります。
- 不十分な口腔衛生
ブラッシングやフロスが不足すると、プラークや歯石が溜まり、歯周病のリスクが高まります。 - 喫煙やタバコの使用
喫煙は免疫システムを弱め、歯ぐきの感染に対抗する力を低下させるため、歯周病のリスクが高まります。 - ホルモンの変化
妊娠や月経、更年期などのホルモン変化により歯ぐきが敏感になり、炎症や感染のリスクが増加します。 - 健康状態
糖尿病などの疾患は体の感染に対する抵抗力を低下させ、歯ぐきの感染リスクを高めます。 - 薬の影響
一部の薬は唾液の分泌を減少させ、口腔乾燥症を引き起こし、歯周病の原因となることがあります。また、他の薬は歯ぐきの過剰な成長を引き起こし、清掃が困難になります。 - 遺伝
口腔衛生を良好に保っていても、遺伝的に歯周病にかかりやすい人もいます。
歯周病のセルフチェック項目

こんな症状がある場合は「歯周病」の可能性が高いので、一度ご相談ください。
- 歯がグラグラしている
- 歯肉の色が赤く腫れた感じがする
- 歯と歯の間に食べ物が詰まり易い
- 歯が伸びた感じがする
- 歯の表面を舌で触るとザラザラする
- 歯肉がムズムズと痒い
- 咬んだ時の痛みや不快感
- 口臭が気になる
- 歯ブラシをしたり、固いものを食べたりした時に歯肉から出血することがある
歯周病と全身疾患の関係性について

歯周病は様々な疾患をもたらすことも…
歯周病はお口の中だけの問題ではありません。
歯周病は様々な全身疾患を引き起こしたり悪化させる原因になると報告されています。
1.糖尿病
近年、特に注目されているのが「糖尿病と歯周病」の関連性です。
糖尿病は、今や予備軍と合わせると日本人の24.2%(2016年 国民健康・栄養調査より)・日本人の4人に1人が罹患しているとされている国民病とも言われる病気です。
歯周病は、糖尿病を重症化させやすく、血糖コントロールに悪影響を与えやすいと言われています。
2.早産・低体重児出産
妊娠期は身体の変化やホルモンバランスの変化により、お口の中の環境が悪化しやすく、歯周病にもなりやすいとされています。また、歯周病菌が子宮の筋肉に影響を与え、早産や低体重児出産を引き起こす可能性があるとされています。
3.肺炎
歯周病菌が肺に侵入することで、肺炎を引き起こすケースがあることが指摘されています。
4.心臓疾患・動脈硬化
歯周病菌が動脈硬化を引き起こしやすくすると言われています。
さらに歯周病の細菌の影響で血管の中で血栓もできやすくなるため、血管が詰まりやすくなり、歯周病の人はそうでない人に比べて約3倍脳梗塞になりやすいと言われています。
歯周病と口臭の関係性について

歯周病によって
口臭を引き起こす原因とは?
細菌の蓄積
歯周病によって歯の周囲に形成される深いポケットは、細菌が繁殖しやすい環境となります。
これらの細菌は、悪臭の原因となる硫黄化合物を生成し、持続的な口臭を引き起こします。
歯ぐきの炎症と感染
感染した歯ぐきや炎症のある歯ぐきは、口内に不快な味や臭いを生じさせ、ブラッシングやマウスウォッシュだけでは簡単に取り除けない場合があります。
プラークと歯石の蓄積
歯ぐきや歯ぐき下に蓄積したプラークや歯石は、歯ぐきを刺激するだけでなく、細菌が繁殖して悪臭を発生させる
原因にもなります。
歯周病による口臭を防ぐには?
口臭の原因となる歯周病には、専門的な治療と日々の適切な口腔生活習慣が欠かせません。
歯科医院でのスケーリングとルートプレーニング(深いクリーニング)と患者さまご自身での適切な口腔衛生習慣を取り入れることで、細菌や炎症、プラークの蓄積を減らし、口臭を防ぐことができます。
定期的な歯科検診とクリーニングを行い、日々の口腔ケアを徹底することで、口内の新鮮さを保ち、口臭の発生を防ぎます。
歯周病治療の流れ

1)歯周病検査
歯周病の進行度合い(軽度・中度・重度)により、治療方法が変わります。どの段階も医院での専門的な治療と患者様ご自身でのご自宅でのブラッシングの2本柱で成り立ちます。歯周病の改善、進行を止めるためにも、患者様ご自身と歯科との二人三脚で臨んで頂きたいと思います。歯周病治療の流れの最初は、進行の度合いを見極めるために歯周病の検査を行い、診断をします。
歯周ポケット検査
レントゲン撮影
(必要であればCT撮影)
動揺度検査
上記の検査後、患者さま一人一人の状態に合わせて治療を行います。
2)歯磨きなどの口腔ケアの説明
飲食をすれば歯に汚れがたまり、放置すれば歯周病菌が繁殖します。根本的な原因を解決するためには、まずは日々の口腔ケアを向上させることが歯周病治療の第一歩となります。歯磨きを適切に行うのは意外と難しく、歯周病の改善と健康維持に向けて患者さま一人ひとりに合わせたアドバイスをおこないます。
3)歯周病治療
歯肉炎(歯周ポケット1〜3mm)
症状
歯を支える骨には、ほぼ影響がない段階なので、歯科医院での歯石・プラークの除去と、正しいブラッシングなどを自宅で行えば、健康な状態に改善可能です。
治療法
歯肉の上に付着している歯石と歯周ポケット内のプラークを除去します。予防のための定期検診に以降します。

軽度な歯周炎(歯周ポケット3〜5mm)
症状
歯石がポケット内にも付着し、歯肉も炎症が見られます。
治療法
骨にも少し影響が出ます。歯肉炎同様に歯石とプラークを除去し、ご自宅で正しいブラッシングを行います。数週間空けて、再度歯肉の状態、ホームケアの状態を確認して状態が良ければ、定期検診に移行します。

中度の歯周病(歯周ポケット4〜7mm)
症状
骨に影響が出てきていて、歯の動揺が見られることもある状態です。ブラッシング時以外でも、何もしていなくても歯肉から出血することもあります。
治療法
歯石やプラークを取り、正しいホームケアをして頂きます。
数週間の期間を空けて歯肉の状態などをチェックし、前回歯肉で隠れていて取りきれていなかった歯石を除去します。その後、期間を空け再度歯周ポケットを測定します。中度の歯周炎になると、ここまでの処置では改善が大きく見られない場合も出てきます。その場合は、「歯周外科治療」をご提案する場合もあります。外科処置後は、定期検診に移行します。

重度の歯周病(歯周ポケット8mm以上)
症状
歯の動揺が大きい場合や、痛みなどの症状が強く出る場合があります。骨は大きなダメージを受けていて、出血や口臭などの症状も現れます。
治療法
歯肉の上に付着した歯石、歯周ポケット内のプラークを除去します。その後、数回に分けて、歯肉に隠れている歯石を除去します。
歯周ポケットが深いため、ポケットの消毒を医院で行った後は数ヶ月空けて歯周ポケットを再度測定します。歯周外科治療が必要な場合はご提案します。

歯周病予防には、「メインテナンス」が大切です!
口の中の細菌を完全になくすことは難しく、歯周病は再発し易いので、治療完了後も定期的なメンテナンスが必要となります。
再発防止には患者さん自身による歯垢(プラーク)のコントロールだけでなく、定期的に歯科医師や歯科衛生士による検診や治療を受け、歯をメンテナンスすることが重要です。